山楽・山雪のデジタルレプリカ2013年06月05日 11:02

先週大徳寺に行ったので今週は妙心寺にお散歩。ここは日本最大の禅寺とかそのスケールは格別で境内にタクシーが走る程です。
お寺廻りはあれもこれもと欲張らないことが肝心と梅雨の晴れ間の境内を歩いていると特別公開の案内がありました。
そこは天球院、岡山藩主池田光政が伯母天球院のため建立し開山は江山景巴とか、拝観料が千円とはちと高いなぁと思いながら重文の本堂に入りました。
なんとそこは先だって京博の「山楽・山雪展」で見た<梅花遊禽図襖><朝顔図襖>があるではないですか。ここから七条までお出ましだったのですね。
天井の高いワンルームの三面に連なる空間の中に身を置いて観るものなのです、本来は。二次元的な博物館のショーケースではなく四次元的に鑑賞するものなのですね。
せめて少しでもそれを体験できないかと止め柵から首を長くしましたが、、、一度でいいからあの真ん中に座ってみたいとゆう妄想に駆られました。
次の間も次の間も、、、部屋ごとに嗜好が凝らせてあるこの豪勢さに池田藩の、妙法寺の権勢が立証される思いがしました。

ガイドの学生さんの話によると<宝中虎ノ図襖絵><朝顔図襖>はなんとレプリカなんですって、、、調べれば京都文化協会とキャノンが共同で取り組んでいる「綴プロジェクト」だそうです。間違いなくやがて劣化していくこれらの文化財を後世に遺すためのプロジェクトです。
長谷川等伯のかの有名な『山水図襖』もレプリカもとなり高台寺で公開されています。鑑真和上坐像も複製したお身代わり像つまりレプリカに変わりました。
この調子でゆくと国宝級の仏像や絵画の実物に会う機会の最後の時代かもしれませんね、今世紀が。
思えばつい100年位前にはこれらのお宝には庶民が目にすることが無かった、できなかったのです。今はお宝の保存から博物館の倉庫にと大衆から離れていきます。
高度にデジタル化したレプリカとすり替えて。

実物とレプリカの違いは観る者の 感受性にどのような違いを興させるのだろうか?と、私は方丈の廊下に座しなかなか立てなかった。
ふと上を見上げると天井板に生々しい指の跡が、ガイドによれば「桃山の血天井」と云われ、この時代のお寺の建築には城などの遺構が供養のために多く使われたそうです。
やがて襖絵は全てレプリカになるでしょう。その時、血痕の天井が時代の生証人としてレプリカの襖絵に生命を与えるかもしれませんね。


画像:狩野山楽・山雪筆「竹に虎図襖」 江戸時代 キャノン ニュースリリースより

Copyright 2012- アート・遊 Art U All Rights Reserved
このブログ内の画像および文章の無断複製・転載を禁じます。