くれない忌2015年10月05日 15:53

10/3 はくれない忌で宝塚に行った。阪急電車に乗っているとひょいと元永さんが乗って来られるような気がしてくるがもう三回忌とは!
今年は趣向が変わってNYからギャラリストのマッカフリーさんがゲストとして講演された。マッカフリーさんといえばアメリカの日本の戦後美術の先駆者、その実績は広く知られるようになった。その縁は京大留学時代から始まり、精力的な活動は日本の戦後美術を、特に具体美術を国際的舞台へ導いた力は大きい。まだ若いので今後の活躍が期待される。
会場からの質問に〜マッカフリーさんの郷里・アイルランドのダブリンがキリスト教に改宗される前のケルト文化と日本のアミニズムと具体美術とのつながりについて因果関係があるのでは〜の質問があったが、マッカフリーさんは〜自分は美術史に添って具体美術に関わっているのでケルトもは全く関係ない〜と一蹴した。この根源的な質問にマッカフリーさんもちょっと面食らったようだった。
質問者は元新聞社の記者だそうだがこの根源的発想に私は興味を惹かれた。ケルトと縄文、何か共通するものを感じるから。マッカフリーさんは云ってる通り京大留学が機縁だと思う。そして NYのアート業界を体感してギャラリストの感として、戦略として未開の日本現代美術をテーマにしたのだと思う。
11 月にマッカフリーさんのギャラリーで元永定正展を開く。 gutaiの元永ではなく、個のアーティストとしての。これこそ何よりの供養だと思った。

MATSUTANI CURRENTS 松谷武判の流れ2015年10月10日 13:42


昨日は西宮大谷記念美術館で松谷展のオープニングパーティが開かれた。
遅れて着いたので制作パフォーマンスは終わっていたが、さすが松谷さんの魅力か会場は大変な人混みで熱気にあふれていた。
展示はタイトルのように初期の日本画の時代から西宮展、具体美術の時代そしてフランス・パリに根を下ろし版画や黒の時代そしてパフォーマンスの現代を一望できるものであった。
特に具体時代は始めて見る作品が多く改めてその魅力に惹きつけられた。モノトーンの時代、その禁欲から迸るような鮮明なカラーの時代、最近作からはまるでビッグバーンのような宇宙の根源さが感じさせられる。
展示のセンスがいいと思った。元お屋敷であった美術館の空間が実に上手く生かされているとおもった。それにこの KANSAIの空気感が作品としっとりしていると思った。
具体の中でも国際的な舞台に身を置いて制作したのは松谷さんだけである。その視野の広さと練れ方は他のメンバーとは特筆されるものであろう。しかし常に関西・西宮と行き来していたことは、日本と決別する覚悟で滞欧した菅井さんとは肌合いの違いを感じる。
松谷さんにとって gutaiは元所属していた画塾であって、今や国際的なアーティスト<松谷武判>としての確かな存在を知らされた展覧会だった。

琳派めぐり2015年10月18日 21:52


今年の京都は琳派誕生 400 年で盛り上げている。なかでも京都国立博物館の<琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る>が楽しみだ。その前にまず本拠地に行かねばと鷹ヶ峰に行った。
近くにいながら鷹ヶ峰は始めて、四条大宮から市バスに乗って結構時間がかかった。立命館や佛教大学がこんな所にあったのか、窓外の景色が鄙びてきてようやく「源光庵前」、下車する。
源光庵は曹洞宗、紫苑や紫式部に彩られ凛と在った。造形的に惹かれたのはなんといっても丸と四角の窓。その景色の切り取り方に自ずと集中させられる。丸は「悟りの窓」四角は「迷いの窓」だそうだが、四角の障子の桟が美しい。
「光悦寺」は露地の奥に在った。
大虚庵、三巴亭、了寂軒、徳友庵、本阿弥庵、騎牛庵、自得庵と7つの茶室がにわに溶け込んであった。中は見られないのが残念だがそれぞれに趣向を凝らせていて、客人や季節により使い分けたことだろう。なだらかな鷹ヶ峰、鷲ヶ峰、天ヶ峰の山の姿を見ていると自然に琳派の山と重なってきた。

ニキ・ド・サンファル展2015年10月29日 23:09

具体展以来の国立新美術館、 ニキ・ド・サンファルに惹かれて来た。
その過激さに身構え心構えしてはいたつもりだがいきなりの激しい銃声の洗礼はショックだった。
射撃シリーズの作品を目前にすると、彼女の自虐性の深さが重苦しく迫ってくる。
それは少女期の傷の深さのビジュアル化されたものだからだと思う。
そして女性という性の追求に向かって行く。
「白の出産」の生々しさにドキッとさせられるが、その表情は解脱したような気高ささえ湛えている。
自己の中の<牝性>を正面きって直視し、そのモンスターを外に放出していくそのエネルギーの凄さに只々圧倒される。
野に放たれたモンスターは原始の女神のように凶暴な暖かさで人の心を包む。

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